事故調経験者、問題点指摘 原子力規制委 有識者からの意見聴取開始

原子力規制委員会は21日、有識者との意見交換を公開の場で初めて行った。同委に求められた専門性・独立性の向上の一方、「独りよがりにならないよう」高い透明性の担保を目指し、外部からの意見を求め活動の参考に資するもの。同日、出席した有識者は、浅岡美恵氏(気候ネットワーク)、飯田哲也氏(環境エネルギー政策研究所)、津田知子氏(セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン)、船橋洋一氏(日本再建イニシアティブ)、柳田邦男氏(作家)。

意見聴取で、浅岡氏は、他産業のリコール制度とも対比しながら、今後のバックフィット制度運用に言及し、最近、規制委で論点となりつつある指針類改定の議論が十分になされるよう、安全確保の法的枠組みに関連する意見を述べた。

安全規制行政改革に携わった飯田氏は、同委自ら「あの現状(福島災害)を防げる組織なのか問いかける」必要を指摘した。

子ども・家族を中心に被災地復興支援に取組む津田氏は、11年末に実施したインタビュー調査について紹介し、「疲れすぎて、放射能とリスクについて考えることができない」といった声から、不安を表現することで引き起こされる差別や対立に対する恐れを推し量り、情報を提供し子どもの意見も反映させる取組の必要を訴えた。

民間事故調査委員会の取りまとめに当たった船橋氏は、これまでの規制ガバナンスの問題点を指摘した上で、今後、独立性・専門性を高め安全規制でリーダーシップをとっていくことは「非常に難しい」と述べたほか、国際事故調を立ち上げるなど、諸外国と「一緒に育っていく」ことも提案した。

今回の原子力事故の他、これまで多くの事故調査に携わってきた柳田氏は、企業の安全文化に関して、1973年頃から航空業界で議論され始め、以降、10年刻みで他の産業分野にも広がってきたことをあげたほか、原子力災害に伴い、被害者の救済など、多くの社会問題が明らかになってきたとして、大きな歴史の流れを読む必要を述べた。


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