安全技術も新ミッションに 文科省 「もんじゅ」研究開発体系議論

文部科学省の「もんじゅ研究計画作業部会」(主査=山名元・京都大学原子炉実験所教授)はこのほど、高速増殖炉(FBR)研究開発計画の見直し状況について、日本原子力研究開発機構より説明を受け議論した。革新的エネルギー・環境戦略を踏まえ、これまでの「もんじゅ」(=写真)の研究開発体系を改めるもの。

従来、「もんじゅ」の研究開発体系は、「発電プラントとしての信頼性実証」、「運転経験を通じたナトリウム取扱技術の確立」、「FBR実用化に向けた研究開発の場として活用・利用」を柱とし、性能試験段階など、プロジェクト進行に伴う時間軸を意識していたが、原子力機構は、8日の作業部会で、今後、新たなエネルギー戦略に示される「廃棄物減容・有害度低減技術」とともに、「東電福島事故を踏まえた安全性関連技術」を新規ミッションとして取り入れ、研究開発項目を整理した。新たな体系の下での項目選定に当たり、技術の維持・継承への寄与度、「もんじゅ」の利用優先度の観点から分類を行い、議論に付した。

「もんじゅ」試験再開は、原子力機構の説明によると、来年の夏頃が見込まれており、現在、技術面・安全面の確認を実施中だが、今後の運転については、原型炉としての成果を確実に取得するため、十分な保全を行う期間を設けた上で、計画的に継続することが必要との考えに立ち、本格運転開始以降、1サイクル4か月運転+8か月点検のパターンを想定。

委員からは、安全性技術のミッションに関連し、福島発電所事故を受けたシビアアクシデント対策への関心の高まりに言及しながら、実プラントとしてのノウハウを蓄積していくよう求める意見があった。山名氏は、「はやぶさ」の地球帰還を例に、「成果をしっかり示さないと国民は納得しない」などと述べた。

部会は、続く21日の会合で、廃棄物の減容などの研究開発に「もんじゅ」を活用する方策について議論に入った。


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