核融合事業が本格化 ITER、BA活動共に

世界七極で共同建設している国際熱核融合実験炉(ITER)や、日欧で建設を進めている「幅広いアプローチ」(BA)での核融合試験装置サテライト・トカマクJT―60SA事業などの計画が進みつつあり、機器調達の発注・納入などが本格化してきている。

フランス東南のカダラッシュで建設が進んでいるITER計画では、日本の機器調達分の価格は計2000億円程度になる見込みで、2012年末時点での調達取り決めは日本調達機器全体の約72%に達している。日本が担当する主要機器としては、超伝導トロイダル磁場コイルの18個中の9個、プラズマの立ち上げ・制御などに必要な中心ソレノイドコイル用導体、ブランケット遠隔保守機器、不純物粒子を排出するダイバータ、高周波加熱装置、中性粒子入射加熱装置などの一部、計測装置などだ。

ITER機構の職員数は現在471人で、日本からは35名が参加。ITERの国内指定機関となっている原子力機構では100名程度の日本人を送り出したいとしている。

カダラッシュの現地サイトでは、2020年の運転開始を目指して、機構本部建屋やポロイダル磁場コイル組立て建屋の建設が終了、トカマク建屋など総重量36万トンを支える493基の免震パットの設置がすでに終わっている。

国内でも、ITER研究の補完研究や今後の核融合原型炉の研究開発のためのBAプロジェクトの1つJT―60SA事業では、茨城県那珂町での旧JT―60の解体が計画通りにすでに終了、13年からJT―60SAの組立てが開始される。青森県六ヶ所村での国際核融合エネルギー研究センターでは世界で15位の能力を持つ計算機シミュレーション運用が始まっている他、燃料の量産化技術も成功している。

原子力機構では現在、ITERダイバータ赤外サーモグラフィー試験用赤外線検出器の購入、ITERポロイダル偏光計測装置試験用ミラーの製作、高周波加熱装置特高電源用無停電制御式並列化回路の製作などの入札公募を行っている。


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