福島で放射線モニタリング 国際ワークショップ 除染現場視察で専門的知見深める

「放射線モニタリングに係る国際ワークショップ」(組織委員長=山本幸佳・大阪大学名誉教授)が1日から3日の日程で茨城県大洗町と福島市で開催され、19か国から約140名が参加し、放射線モニタリングをめぐる最新の研究成果等の発表が行われた。ワークショップにあわせて、参加者らは福島第一原子力発電所事故後の除染作業現場を訪問し、環境回復への取り組みの様子を通して専門的知見を深めた。

同ワークショップは、2005年に個人被ばく線量測定をテーマとした東アジア4か国のワークショップとしてスタート。3回目からは、欧米からの参加も得てテーマを放射線計測全般として実施されている。8回目の今回は、原子力発電所事故を受け、初めて福島でのプログラムを組み入れた。開催にあたっては、千代田テクノルが全面的に協力している。

3日には、福島市での同ワークショップ・サテライトミーティング(=写真上)開催に先立ち、海外参加者を中心に、竹中工務店等のジョイントベンチャーで進められている南相馬市の除染作業現場を訪れた(=写真下)。民家での高圧水洗浄による除染作業を視察、作業現場で放射線量を実測するなどし、事故後の福島での環境回復の現状を正しく理解する機会となった。サテライト・ミーティングでは、環境回復技術の課題や効果的な除染、放射線の専門家の立場から福島の復興のために貢献できることは何か、といったテーマでの発表と議論を実施。松原純子・元原子力安全委員長代理が専門的見地から規制値と実際に有害なレベルの放射線量の不整合について講演したほか、鈴木敏和・放射線医学総合研究所内部被ばく評価室長が福島事故による放射能汚染と放射線量について講演した。

続いて、町末男・アジア原子力協力フォーラム(FNCA)日本コーディネーターをモデレータに行われたパネル討論では、社会と専門家との関わりといった観点から、放射線しきい値の意味を正しく伝える必要性や公衆とのリスクコミュニケーションの重要性を強調する意見などが交わされた。


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