型式認証でEPR設計を承認 英国・規制庁が原子力新設計画で初めて

英国原子力規制庁(ONR)は13日、仏アレバ社製の英国版・欧州加圧水型炉(UK−EPR)設計で約5年にわたった包括的な設計審査(GDA)が終了したと発表した。2007年に始まった同国の原子炉新設計画において初めて設計容認確認書(DAC)の発給に同意したもので、同日、環境庁(EA)も同設計が国内の建設に適すると裁定。同設計は英国の安全・セキュリティ上、および環境影響上の規制要件をすべて満たしていると認められたことになる。また、福島事故を受けた追加の審査をパスしたことから、福島事故の引き金となった極端な自然災害にも十分耐えうることが実証された。安全系関連の建設が許されるまでにはサイトに特化した追加の同意と承認、および担当大臣の許可が必要だが、EPR建設を想定したEDFエナジー社のヒンクリーポイントC計画も、いよいよ実現に向けた最終局面を迎えている。

EDF社は既存のヒンクリーポイントB原子力発電所の隣接区域で160万kW級EPR2基の建設を計画。同社の親会社である仏電力(EDF)とアレバ社が申請した同設計のGDA審査は2007年7月に開始された。審査範囲は土木建築から原子炉化学まで17の技術分野にわたり、期間は約5年間、経費も1設計につき3500万ポンドが必要だが、発給日以降、10年間有効だ。

同じ時期にGDA審査が開始された4設計のうち、カナダ原子力公社製ACR1000とGE日立社製ESBWR(高経済性・単純化BWR)は08年に離脱が表明される一方、ONRは2011年12月にUK―EPRとウェスチングハウス(WH)社製AP1000に対して暫定的な設計容認確認書(iDAC)を発給。EAも両設計に環境面での影響に関する暫定設計容認声明書を発給していた。

その後のEDFらの取組みにより、ONRは残されていた31のGDA課題すべてが解決されたとしてDACの発給を決定。また、ONRは先月26日、同計画に対し原子炉建設サイトへの許可としては25年ぶりとなるサイト許可(NSL)を与えている。

後はEDFエナジー社による最終的な投資決定が待たれるが、EDFは今月3日、仏国初のEPRとなるフラマンビル3号機の総工費が当初予定より20億ユーロ増えて80億ユーロになったと発表。現在、英国国会で審議中の電力市場改革法案では、原子力など低炭素電源からの電力は卸売価格が政府の下限価格を下回った場合に差額が補填されることになるため、ヒンクリー・プロジェクトで政府が設定する固定価格いかんにより、同社の最終判断が左右されるとの見方がある。同社もまた、年内までとしていた最終投資決定の発表を来年4月以降に延期したとも伝えられている。

なお、WH社はiDAC取得後、「新設計画でAP1000を採用する顧客が確実に確保できるまで未解決課題に取り組まない」方針を表明。ONRは、2012年中は審査活動を行っていない。


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