米エネ省が廃棄物処分で戦略計画 48年までに最終処分場操業

米エネルギー省(DOE)は11日、民生用原子炉から出る使用済み燃料および高レベル放射性廃棄物(HLW)の管理処分戦略を公表し、2025年までに集中中間貯蔵施設を、48年までに最終深地層処分場を操業開始とするなどの計画を明らかにした。昨年1月に政府の有識者特別(ブルーリボン)委員会(BRC)が提示した勧告に応えて、各発電所敷地内に貯蔵されている使用済み燃料を早急に政府が引き取るための、新たな管理処分計画を議会にかける考えだ。ただし、サイト選定はBRC勧告通り、地元の同意に基づいた方式を取るため、約20年の歳月と数百億ドルを費やしたユッカマウンテン計画に替えて、作業を一からやり直すことになる。

今回の戦略計画は、使用済み燃料等の輸送・貯蔵・直接処分で統合システムを開発するための持続可能プログラム実施に向けた枠組となるもので、BRC勧告に対するオバマ政権の政策声明という位置付け。同システムの全体設計を説明するとともに、そうしたシステムの実行に必要な改革の概要を示している。

まずBRC勧告の重要原則に則り、閉鎖済み原子炉の使用済み燃料を最優先に、サイト自治体の同意に基づく立地方式で段階的に1か所以上の中間貯蔵施設、および/または処分場を建設していく。議会の承認を得つつ、さし当たり10年間は、それぞれの施設の1つに焦点を合わせて以下のプログラムを実施。すなわち、(1)2021年までに中間貯蔵・パイロット施設の立地・設計・許認可手続き、建設、および操業開始を実現(2)25年までに一層規模の大きい中間貯蔵施設の利用が可能となるよう立地と許認可を進める(3)48年までに深地層処分場が利用可能となるよう、サイトの選定および特性評価に関する実証作業を進展させる。

このプログラムを実行に移すには、処分システムの要素開発をタイムリーに行うための法整備が不可欠で、同意ベースで立地を進める際の要件や十分な資金を必要に応じて調達できる基金方式への改革、および同プログラムの実施を担当する、自立性の高い新組織創設も必要だ。このため、政府は議会がこうした包括的な法整備に向けて動き出すことを期待。その間、政府はDOEを通じて、使用済み燃料等を最終的に輸送・貯蔵・処分するための様々な地層の適性研究や処分システム概念の検証と言った活動を既存の議会承認の枠内で行っていくとしている。

米国では放射性廃棄物法(NWPA)が使用済み燃料等を永久処分する広範囲な政策の枠組を規定。廃棄物を発生させる事業者が処分対価を支払う一方、責任は政府が負う内容で両者が契約することを承認したが、政府は「1998年までに使用済み燃料の引き取りを開始する」という契約義務の履行を怠っている。

現在、全米72か所の原発サイトで6万8000トン以上の使用済み燃料が貯蔵されており、毎年約2000トンずつ増加中。一部の報道ではニューメキシコ州などで施設誘致の動きがあると伝えられているが、DOEも今回の戦略は、政府と議会、関係者が最終処分に向けた議論を始める最初の原則に過ぎないことを認めている。


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