政府に建設許可を申請 フィンランドの処分場計画

フィンランドの使用済み燃料最終処分実施主体であるポシバ社(POSIVA)は12月28日、ユーラヨキ地方のオルキルオトに使用済み燃料最終処分場を建設するため、政府に宛てた許可申請書を雇用経済省に提出した。

同国で稼働する既存炉4基に加え、建設中のオルキルオト3号機(OL3)および計画中の同4号機(OL4)から出る使用済み燃料9000トンを地下400〜450mの深地層に埋設する計画だ。

今後、原子力法に則り、関係省庁や自治体、一般からのコメント収集手続きが開始されるが、申請書が政府の審査に回されるのは14年末頃になる予定。完成後も政府の操業許可が必要となるため、実際の操業開始は2020年頃になる。

フィンランドでは原子力発電所から出る使用済み燃料は再処理せず、高レベル放射性廃棄物(HLW)として深地層に直接処分する方針。同国で原子力発電所を操業するテオリスーデン・ボイマ社(TVO)とフォータム社の出資で設立されたポシバ社が、最終処分の研究開発や処分場の建設・操業を実施することになっている。同処分場は「地上で廃棄物を専用容器に封入する設備」のほか、同設備と相互接続された「地下処分場設備」で構成。地下設備はさらに、段階毎に建設されるトンネル網と関連の技術施設が含まれる予定だ。

ポシバ社は1999年、オルキルオト原子力発電所サイトから2km圏内の区域を処分場建設サイトに選定。政府は既存炉4基からの使用済み燃料については2000年に、またOL3とOL4からの使用済み燃料についてもそれぞれ、02年と10年に最終処分設備の建設に対する原則決定(DIP)を発給しており、議会もこれらを承認した。

続いて同社はサイトを精密に調査するため、04年に地下岩盤特性調査施設(ONKALO)を着工。これまでに掘削した複数の試験・実証用坑道を通じて、同サイトの最終処分場としての適性を確認するとともに、得られたデータは100年間という長期の安全確保が期待できる岩盤特性の最適な利用法を保証する基準と詳細手続きの策定に活用した。

処分場の長期的な安全性は特に、実地試験で注意深く調査した補完的な人工バリアで保証。例として、腐食に強いキャニスターに加え、岩盤とキャニスター間の緩衝材となるベントナイト粘土、トンネルの埋め戻しなどを挙げているが、岩盤そのものも時に応じてバリアの機能を果たす。

建設認可に関わる安全要件の遵守については、フィンランド放射線・原子力安全庁(STUK)が申請書を評価。処分場に起因する年間の放射線量は最大許容線量をはるかに下回ると見られている。

ポシバ社は申請書の審査期間中に今後の担当組織の準備を実施。ONKALOでも最終処分技術の本格的な試験を開始することになっている。


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