ESBWRで環境問題クリア 米国のフェルミ3建設計画、COL審査が前進

米原子力規制委員会(NRC)のスタッフは18日、DTEエナジー社がGE日立ニュークリア・エナジー(GEH)社製・ESBWR(高経済性・単純化BWR)の建設を想定して提出していたフェルミ3号機の建設・運転一括認可(COL)申請について、地元民の利益や水資源への影響など環境影響上の問題は見あたらないとの分析結果をまとめた最終環境影響声明書(FEIS)を発行した。NRC委員にCOLの発給を暫定的に勧告するもの。COL審査を構成する安全審査と環境影響評価のうち、片方をクリアしたことから、同計画は実現に向けて大きな節目を迎えている。

DTE社の子会社であるデトロイト・エジソン社がミシガン州のデトロイト近郊にあるフェルミ原子力発電所の増設でCOLを申請したのは2008年9月のこと。ESBWR設計は同計画以外でも、エンタジー社やドミニオン社、およびエクセロン社が新設計画のCOL申請に採用していたが、エンジニアリング・資材調達・建設(EPC)契約の条件等で折り合わず、別設計への変更やCOL審査そのものの中断が相次いだ。このため、フェルミ3号機は現在同設計でCOL審査を受けている唯一の計画であり、今後、同設計でCOL審査が行われる際の参照計画となる。

ESBWRは出力150万kW級で、受動的安全性を備えるとともに設計と操業を簡素化した次世代設計。米国の標準設計としての認証(DC)審査をNRCから受けているところで、GEH社は2011年3月に安全性と技術面での承認である最終安全性評価報告書(FSER)と最終設計承認(FDA)を取得。これに続いて関連規則が制定されれば今年中にもDCが発給されると見られており、採用計画へのCOL発給に向けた条件の1つが整う段取りだ。

一方、DTE社が申請したフェルミ3号機計画のCOL審査では、安全上の問題がないことを保証するFSERをNRCが発行する必要がある。また、FEIS発行にともない、政府の協力機関としてNRC審査チームとEIS作成で協働した米陸軍工兵司令部(USACE)からは、水質浄化法とUSACEの規制要件に基づく許可が発給される見通しである。


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