新安全基準「しっかり説明を」 原産理事長 記者団との懇談行う

原産協会の服部拓也理事長は28日、プレスブリーフィングを行い、記者と質疑応答を行った。

同理事長は、現状の課題として、(1)福島住民が感じている放射線への不安に対する取組(2)失われた原子力専門家・技術者への信頼回復(3)現実的なエネルギー政策の再構築――を挙げた。

原子力規制委員会で検討している新安全基準については、途中段階での理解であると断りながら、「設計基準とシビアアクシデント対策に分けられているが、国際基準に照らしても恥ずかしいものでないようにしてもらい、国民に対してもしっかり説明してほしい」と語った。

発電所敷地内の破砕帯については、「専門家ではないので、評論家的になるが」と断りつつ、「地球誕生の46億年前と新たな活断層の定義となる40万年前とどういう関係があるのか分からない。サイエンスとエンジニアリングの間に落ち込んだ不幸なことだ」と指摘、同問題は被ばくの医療問題と同質であることを強調した。

また、同理事長は、「活断層上に原発建設禁止も1つの判断基準」とした上で、「なぜ、上にあってはいけないのか、議論も行われていない」と述べ、「断層の多い日本で、一点の曇りもないというものはない。技術を否定することだと思うので、受け入れがたい。工学は社会に与えるリスクと便益のバランスの上に成り立っている」と主張した。

再稼働については、新安全基準は基本設計に当たるところであり、事業者が設置許可を得たとしても、その後に「工事計画の認可申請」と「保安規定の認可申請」を経なければならず、「時間が相当かかってしまうのではないか」と危惧を示した。

福島事故は「原発そのものの技術の欠陥で事故が起きたわけではなく、想定をはるかに超える津波がきて、マネジメントできなかった。しっかりマネジメントすれば安全な原子力発電所にできる」とし、原子力発電の役割を強調した。


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