欧州炉の安全性向上で 欧州議会が決議案

欧州議会(EP)の産業・研究・エネルギー委員会(ITRE)は1月24日、「欧州の事業者は原発が自然災害に耐え得るよう安全性を改善するための経費250億ユーロすべてを負担すべきだ」などとする24項目の決議案を承認した。福島事故後に欧州連合(EU)域内で実施されたストレステストによる勧告を受けたもので、6日の本会議でEP議員が原子力安全に関する議論を重ねた上で、7日に同決議案の票決を行うことになっている。

ITREのA.サルトリ委員長(=写真)によると、同決議はEUが策定準備を進めている「原子力安全指令」の叩き台となるもの。「原子力は現在のEUの電源構成において重要な存在であり、ストレステストで行われたことに対する我々の確固たる支援は、EPが原子力の安全性とエネルギー供給保証の結合をどれほど重要と考えているかの表れだ」と指摘した。また、加盟各国が同テストによる発見事項を推進するための具体策を取るとともに、最も適用レベルの高い基準を早急に採用するであろうことを確信していると述べた。

EU加盟15か国の145基で実施された包括的なリスク・安全評価の結果などを考慮して欧州議会が決議案に含めた項目は以下のとおり。

(1)EU域外の原子力発電国にもストレステストの実施、および結果の共有を働きかけるようECとEU加盟国に要請する。特に重要なのは、国際的な安全基準の強化や、その適切な実施である。

(2)福島で再び浮き彫りになった放射性廃棄物による災害は、域内の施設はもちろん、トルコのアックユのように地震と津波のリスクが高い近隣諸国でも発生し得ることから、EUは高リスク地域での発生防止対策を取るべきだ。

(3)最良と特定された慣行を自国の規制に組み込むようEU加盟国とその規制当局に呼びかける。

(4)域内の132基で必要とされた安全性改善対策の総経費・100億〜250億ユーロについて、各国の規制当局と事業者が協力して一層詳細なコスト分析を実施するよう要請。そうした改善費が納税者ではなく原子力事業者によって賄われねばならないことを認める。

同委はこのほか、原子力保険と賠償責任に関する新たな提案が年末までに提出されるべきだと明言。ECもこの関連で、ストレステストによる勧告事項の実施に関する報告書を2014年6月までに公表する計画だ。


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