20年までに送配電分離 3段階で電力自由化 電事連は安定供給など懸念

総合資源エネルギー調査会総合部会の第12回電力システム改革専門委員会(委員長=伊藤元重・東京大学大学院教授)が8日に行われ、報告書案をまとめて終了した(=写真)。戦後最大の電気事業制度改革が始まる。

中東訪問の前に委員会冒頭に出席した茂木敏充経産相は、「改革は大胆に、スケジュールは現実的に」と電力システム改革に取り組む意気込みを語った。

報告書案では、小売の全面自由化、送配電の広域化・中立化、独立し専門性を向上した新規制組織への移行、自己託送の制度化、自営線供給の制度化などを盛り込んでいる。

3段階で電力システム改革を進める工程表を示しており、2015年を目処とする第1段階では需給・系統計画や長期供給力確保のための予備力管理などを行う広域系統運用機関の設置、2016年を目処とする第2段階では小売参入の自由化、2018〜20年を目処とする第3段階では送配電の中立化と料金規制の撤廃を実行するとしている。

電気事業連合会は、報告書の取りまとめにあたり、(1)安定供給の仕組みを確かなものにして進めること(2)改革の前提となる経営環境整備に配慮すること――を求める資料を提出した。

電力システム改革は、電力会社による地域独占体制を廃止し、電力市場を自由化することをめざしており、競争原理による低廉な電気料金の実現などが見込まれている。一方で、これまでの安定的な電力供給が揺らぐことへの懸念も指摘されている。

同委員会は12年2月より約1年かけて協議を重ねてきた。経済産業省は同報告書を元として、電気事業法改正案を今国会に提出する。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで