顔の見える活動今後も NUMO 広聴・広報の変遷報告

西塔雅彦・原子力発電環境整備機構(NUMO)副理事長は5日の原子力委員会で、同機構の広聴・広報活動を報告した。

時代の移り変わりとともにNUMOの活動も変遷してきた。2001年度から04年度は「地層処分事業の認知向上」をめざしテレビCMや新聞広告等による広聴・広報活動を全国で展開したほか、全国の地方新聞社論説委員や若手経営者、消費生活アドバイザーの方々との座談会や、100名規模での公開討論会(フォーラム)を地方新聞社と共催で開催し、その概要を採録記事で掲載したが、十分な成果が得られなかった。そこで2005年度〜07年度は「アイキャッチの重視」を念頭に、テレビCMや新聞広告等に、著名人と統一キャラクター「モグール」を起用するとともに、「知ってほしい、今、地層処分」というキャッチコピーを使用したほか、フォーラムや座談会を継続して開催した。メディア広告の効果と高知県東洋町の誘致問題報道もあり、高レベル放射性廃棄物や地層処分事業等の認知度が向上し、2007年11月には「最終処分事業を推進するための取り組みの強化策」を策定して活動を再度見直した。

2008年度から10年度は「国民全般への広報の拡充」・「必要性・安全性の訴求」をめざし、ワークショップや座談会・フォーラム開催などの草の根活動の拡充、テレビ・ラジオCMや新聞・雑誌広告などのメディアを活用した広報活動の展開を行った。特に2009年、10年においてはお笑い芸人が説明する「エネルギー・トーク・ライブ」や参加型イベント「来て!見て!答えて!なるほどエネルギー」などのさまざまな取り組みを集中的・効果的に展開するキャンペーンを行った。その結果、「認知度」「必要度」「安全度」といった主要指標は着実に向上したものの、「安全度」「地層処分施設の地元建設の賛意度」はレベルとして低い水準にとどまった。

2011年も幅広い活動の積極的な展開をめざしたが、福島事故を受け、主な活動はすべて自粛した。行政刷新会議が「広報活動を全面的に見直すべき」と提言したこともあり、外部の有識者からなる「広聴・広報アドバイザリー委員会(委員長=鳥井弘之・日本経済新聞社社友/元論説委員)」を設置し、「広聴・広報活動のあるべき姿」について2011年12月から12年2月まで計4回の検討が行われて、3月に報告書を受領した。

同報告書では、(1)「真摯」、「顔の見える」、「誠実」、「市民の声に耳を傾ける」という姿勢を感じ取ってもらえる広聴・広報活動(2)首長・議員・農漁商工業関係者等など地域のリーダーへの情報提供を行い、応募地域への「感謝の気持ち」を示す大切さを理解してもらえるような地域広報と全国広報(3)常にNUMO全体としての積極的な情報発信とともに原子力以外の分野の専門家や、地域で信頼されている知識人からの、根拠ある冷静で一定の距離を置いた情報を発信するなどの安全性への理解活動(4)フィンランドやスウェーデンの地域振興を担った現地の人から直接体験談を聞くなど、地域振興に関する情報発信――を提言している。

これを受け、2012年度は、参加対象を教育関係者・学生に拡大して公募し、希望者にファシリテーションのスキルを学ぶ機会を提供するなどワークショップの実施方法を見直して開催したほか、千葉大学で「高レベル放射性廃棄物の処分問題」をテーマにディベート授業を実施するなど若者を対象とした理解活動を行ったり、NUMOのPRツールや活動に対するアンケート、意見交換を行うNUMOモニター制度を創設したりするなどの取り組みを行った。

2013年度においては、(1)ワークショップの開催回数を倍増、対象層を拡大(2)ディベートによる理解活動の全国への展開(3)モニター制度の継続といただいた意見の諸活動への反映(4)今後の政策の動向等も踏まえた自治体等への説明――を広聴・広報活動の重点案としている。


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