かむ影響をfMRIで画像化 放医研

放射線医学総合研究所重粒子医科学センター融合治療診断研究プログラム応用診断研究(MRI)チームの平野好幸客員協力研究員らと、神奈川歯科大学の小野塚実教授(当時)らのグループはこのほど、かむ動作を行うことで注意に関する脳内ネットワークを活性化し、認知課題の応答速度の改善を引き起こすことを、fMRI(MRIを用いて、ヒトや動物の脳活動に関連した血流動態反応を視覚化する方法の1つ)による画像化で示唆した。これまでかむことの認知機能への影響は心理学分野で研究されてきたが、そのメカニズムは未解明だった。

同研究グループは17名の被験者に対し、かむ動作の前後で、合図や妨害を受けながら目の前の矢印の方向を答える「注意ネットワーク賦活テスト」を行い、fMRIで脳活動の変化を計測した。その結果、かむことで注意ネットワーク賦活テストの回答時間が短縮され、脳の前帯状回と左前頭前皮質などの注意に関わる領域の活動を増強させると判明した。かむ動作が注意ネットワーク賦活テスト中に与える影響をfMRIで画像化に成功したのは世界初。

本成果によって、かむ動作が認知機能に影響を与えるしくみを解明することが期待されるとともに、頭頸部のがん治療時にかむ機能を温存できる重粒子線がん治療など非侵襲的な治療が有用であることが示された。


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