ブルガリア内閣が総辞職 電気代の高騰で抗議デモ相次ぐ 再生エネ導入が主因

ブルガリア国営通信(BTA)は20日、同国各地で電気代の高騰に対する抗議デモが8日間連続で発生したのを受け、内閣が総辞職したことを伝えた。閣議後、B.ボリソフ首相が辞職を申し出る正式な書簡を議会に提出したもので、「抗議者達の要求に応えるべく最善を尽くしたが、これ以上やれることは何もない」と説明。これにより7月に予定されていた総選挙が早まる公算が強まったが、現政権の与党である「欧州発展のためのブルガリア市民」は新内閣発足までの暫定内閣に加わるつもりはないとの考えを表明している。

現地の報道によると、ブルガリアでは昨年7月1日から電気代が平均13%アップ。電力卸売市場を管理する国家エネルギー・水規制委員会(SEWRC)はその主な原因として再生可能エネルギーによる発電量の増加を指摘していた。この頃から年金生活者団体や社会連帯運動家などによる抗議活動が顕在化したが、その後の厳寒期を迎えて国民の電気代は負担しきれない額に高騰。2009年以降の経済不況による低所得と高失業率と相まって、現政権に対する不満が爆発したと見られている。

首都ソフィアでは今月17日に14名のけが人が出たことから、ボリソフ首相は20日の記者会見で「3月1日までに電気代を8%減額する」と約束。しかし、SEWRCでは法的手続きの制約から、その実現には懐疑的見解を示したと伝えられている。

また、国営通信によるとSEWRCは20日、チェコ電力公社(CEZ)のブルガリア法人を含む配電会社2社が複数の法律違反を犯したとし、CEZについては配電認可の取消しを示唆。配電会社の国有化により、状況の改善を図る考えとも受け取られている。

この関連ではR.プレブネリエフ大統領も声明を発表しており、配電会社だけでなく国営電力も含めて包括的な調査を実施すべきだと抗議デモ参加者達に呼びかけた。

大統領は、同国のエネルギー部門が過去23年間にわたって蓄積された深刻な構造上の問題に直面しており、非効率的かつ監視の目も行き届いていないと強調。この是正のために短・長期的な措置を早急に取る必要があると指摘した。

ブルガリアでは欧州連合への加入と引き替えに、安全設計に問題のある古い原子炉4基を閉鎖しており、代替電源の確保は喫緊の課題。ボリソフ政権は昨年3月、前政権がロシアとの協力で進めていたベレネ原子力発電所完成計画を「コストがかかり過ぎる」として打ち切る一方、既存のコズロドイ原発に1基増設する案を検討中だった。


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