MOX工場の建設コスト上昇 米・監査院

米国会計監査院(GAO)は14日、米エネルギー省(DOE)・国家核安全保障局(NNSA)がサウスカロライナ州サバンナリバー・サイト(SRS)で建設中のウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料製造工場(MFFF)について、建設コストが近年、20億ドル増加していることを明らかにした。

GAOは連邦議会の要請に基づき、政府機関の財務検査や政策プログラムの評価を通じて予算の執行状況を監査する機関。数年後に完成が近づいたMFFFの経費上昇については、2年に一度改訂している財政的危険性の高い分野リストの最新版の中で指摘したもので、現地のメディアは、サイトの地元でかねてより噂されていた大幅なコスト増が政府機関の発表で初めて公に確認されたと評価している。

それによると、建設前の2004年当時に18億ドルと試算されていた総工費は07年の見積で48億ドルに上昇。現在、68億ドルに拡大した同プログラムは、その管理ミスの責任を問われて2014会計年度の予算要求で減額される可能性があるとしている。

MFFFの建設は、米国の兵器級余剰プルトニウムが再び軍事利用されないよう商業炉用MOX燃料に転換するなど、安全かつ効果的にこれを処分するのが目的。仏アレバ社がメロックスとラ・アーグで20年以上操業しているMOX施設の技術を設計ベースに、07年8月にNNSAの核分裂性物質処分局がSRSで建設を開始していた。

完成すれば年間3.5トンの兵器級プルトニウムをMOX燃料集合体に作り替えることが可能で、2030年代まで約20年間の操業を想定。09年にはMFFFから排出される液体廃棄物を処理する固化施設の建設も始まっている。


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