2015年にITER製造ピーク 核融合フォーラム講演 「次段階議論の準備を」 原型炉開発の基盤構築で部会報告書も

核融合の意義や技術開発について情報共有を行う核融合エネルギーフォーラム(議長=中島尚正・海陽学園海陽中学教育学校長)は11日、東京・千代田区の内幸町ホールで、会員総会と引き続き特別企画「ITER時代における核融合研究開発」と題して、講演や意見交換を行った。

「ITERの工学技術と建設の進歩」と題して基調講演を行った多田栄介・ITER日本国内機関ヘッド(JAEA)は、ITER(国際熱核融合実験炉)の建設主体であるITER機構の人員数が現在、452名であり、そのうち日本人が33名と7%強にとどまっていることから、さらなる人員増を期待していると述べた。

日本のITER貢献比率は9.1%であるものの、大型超伝導コイルやプラズマ外部加熱装置、ブランケット遠隔保守ロボットなど主要機器の多くの製造・納入を担当していることを強調した。

高温プラズマを閉じ込めるトロイダル磁場コイルの導体製造については、すでに世界に先駆けて80%以上の製作を完了しており、14年度には完成予定となっている。同コイルの実機製作契約も昨年8月に三菱重工と締結し、製作に入った。また中心ソレノイドコイルの実機製作にも着手した。

一方、プラズマの不純物除去などを行うダイバータの実規模プロトタイプを13年度中には製作完了し、14年度から実機の製作を開始することなどを明らかにした。

文部科学省の坂本修一・研究開発戦略官(核融合・原子力国際協力担当)(=写真)は科学技術・学術審議会の核融合研究作業部会がまとめた「核融合原型炉開発のための技術基盤構築の進め方について」(現在、最終修文中)の概略を説明し、「行政からコミュニティに期待すること」として、(1)原型炉開発は将来の基幹的エネルギー源をもたらすものとして社会的な期待が大きい一方、エネルギー源としての実現可能性が厳しく問われる(2)ITERは現地でのトカマク本体組立てが15年から開始され、日本でのITER機器の製造もピークとなり、日欧による「幅広いアプローチ(BA)活動」も最終段階を迎える。次の段階に進む議論が本格化することが考えられる(3)課題解決への道筋の明確化、その実行のために必要な協働ネットワークの形成を期待したい――と強調した。


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