英の新設計画で初の開発合意書 EDF社、ヒンクリーポイントCで全認可取得

英国で最も進んでいる新規建設プロジェクトである、EDF・エナジー社のヒンクリーポイントCプロジェクト(EPR×2基)に対し、エネルギー気候変動省(DECC)は19日、開発合意書(DCO)を発給した。英国では大規模な公共事業について、計画審査庁の審査を経た上で、DCOを取得することが要求されている。これでEDF・エナジー社は、新規建設に必要な許認可をすべて取得したことになる。(ロンドン 石井敬之記者)

同社はこれまでに欧州委員会承認(昨年6月)、サイト許可取得(昨年11月)、EPRの包括的設計審査完了(昨年12月)など数々の許認可手続きをクリアし、許認可関連最後の手続きとなるDCO発給の行方が注目を集めていた。

DECCのE.デイビー大臣が議会でDCOの発給を発表した日は、くしくも英国の原子力新規建設をテーマにした「NNB2013」が、英議会からほど近い会議場で開催されていたのと同日。NNBでスピーチした同社のカドゥ-ハドソン新規建設担当役員は、DCO取得により「プロジェクトの準備は整った」と指摘。同時に、「行使価格(政府による電力の買い取り価格)と長期固定価格買取制度(CfDs)に関する財務省との協議は継続中であり、合意に達しない限り最終決定は下せない」と強調した。

行使価格ならびにCfDsは、プロジェクトの利益率を算出する上で重要な要因。同社としても、利益率を示せない限り、新たな出資社との協議のみならず社内の取締役会に掛けることすら出来ないとしている。

なお今後のプロジェクトのスケジュールについて同氏は、政府と協議中であることを理由に言及を避けた。特に行使価格をめぐる協議はかなり「激しい」(同氏)交渉になっているようだ。ただし、デイビー大臣は議会のスピーチで「間もなく行使価格の交渉が終了する」との楽観的な見通しを示している。

NNBには英国内外の原子力産業関係者300名近くが参加。午後1時過ぎにデイビー大臣の発表が始まると、会議場内のスクリーンがBBCのライブ映像に切り替わり、場内は騒然となった。会場にはDECCのJ.ヘイズ閣外大臣も駆けつけ、DCOの発給を産業界に報告した。

原子力の新規建設により、エネルギー・セキュリティの確保や気候変動の防止だけでなく、新たな雇用の創出や落ち込んだ産業界の技術レベル回復を図りたい英国の雰囲気が十分に伝わってくる光景だった。


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