監視権限有する米議会、十分な費用対効果分析要求

今年1月、米議会下院・エネルギー商務委員会のF.アプトン議員ら21名の共和党員は連名で、福島事故後の規制変更が国内原子力発電所に潜在的に及ぼす累積的影響に対する懸念をNRCのマクファーレン委員長に書簡で伝えた。

米国では議会上院の環境・公共事業委員会とその下部の大気浄化・原子力安全保障小委員会、および下院のエネルギー商務委員会と下部のエネルギー環境小委員会がNRCの活動を監視する権限を保有。両院の歳出委員会がNRC内の連絡担当部署から半年ごとに許認可・規制活動の状況報告書を受け取るほか、議会の特定の関心分野についてNRC委員や上級スタッフを公聴会に召還することも可能だ。

厳密な費用対効果と技術の分析実施はNRCの歴史的慣例

そうした背景から、アプトン議員らは書簡の中で「NRCが福島事故後の対応で厳格な技術分析と費用対効果分析から逸脱している点には特に懸念の声が上がっている」と言明。NRCがその他の課題に及ぼす影響の大きさを考慮せずに特定の課題に独自ベースで取り組んでいると指摘した。

その上で議員らは、議会の委任専門家で構成されるNRCの原子炉安全諮問委員会(ACRS)がNRC委員長宛の書簡の中で、「NRCスタッフのフィルター付きベント設置勧告は、リスク情報に基づく費用対効果分析では正当化できない」、「オプション(3)よりも(4)が好ましい」としていた部分を引用。適切な防護基準を間接的に再定義する前例を新たに設定するような案を進めれば、歴史的に統制の取れたNRC基準の弱体化につながると警告した。

また、「一律にフィルターを付けるだけの画一的な方式ではコスト上の利点はない」とした米原子力エネルギー協会の見解にも言及。NRCが歴史的慣例を忠実に守って徹底した費用対効果分析と技術分析を行い、規制変更を正当化するよう強く要求している。


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