信頼回復に向け全社的に 東京電力 原子力改革プラン実行へ東京電力は3月29日、福島第一原子力発電所事故を総括し「原子力安全改革プラン」をまとめた。安全文化を社内に浸透させるため原子力安全の監視義務を負う取締役会の意思決定を補佐する「原子力安全監視室」を設置するほか、リスクコミュニケーターという専門職を置いて事故時に社会への説明を適切に行うなど、信頼回復への全社的な態勢強化をはかる。 改革プランのなかで東京電力は、技術面での原因分析とともに、事故の備えが不足した組織内に内在する問題を明らかにし、解決するため、「従来の安全対策に対する過信とおごりを一掃し、当社組織内にあった問題を明らかにして、安全への取組を根底から改革する」とした。また事故の背後要因に、「安全意識」、「技術力」、「対話力」の不足を問題点としている。さらに、「安全は既に確立されたものと思い込み、稼働率などを重要な経営課題と認識した結果、事故の備えが不足」し、これを助長する構造的な問題として「負の連鎖」が原子力部門に定着していたことを指摘。このほか、事故当時の経営層全体に、原子力発電に関わる企業としてのリスク管理に甘さがあったとして、今後は、原子力安全リスクの管理状況の監視・監督機能を改善・強化に取り組むとした。 具体的には、組織の本質的な問題を解消するため、「経営層からの改革」、「経営層への監視・支援強化」、「深層防護提案力の強化」、「リスクコミュニケーターの設置・ソーシャル・コミュニケーション室の設置」、「発電所および本店の緊急時組織の改編」、「平常時の発電所組織の見直しと直営技術力強化」の6つの対策を打ち出した。 まず経営層が自ら率先して安全文化を組織全体に浸透させる考えを第一に、原子力安全の監視義務を負う取締役会の意思決定を補佐する「原子力安全監視室」を設置し、原子力安全に関する活動を執行側と独立した立場から評価、監視・助言させる。また、深層防護に則った費用対効果の高い安全性向上対策を強化すべく「安全性向上コンペ」などの改善提案の仕組みを構築する。加えて事故の当事者として、リスクを公表し、対策を広く社会に伝える視点に立ち、リスクコミュニケーション活動の充実に向け専門職、社長直属の組織を整備。緊急時に関して、震災後、現場対応に混乱をきたした教訓を踏まえ、米国にならった改編を実施する。平常時についても、原子力安全に関する俯瞰機能の強化を目的に発電所組織を見直していく。 お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで |