原産協会 2011年原子力産業動向調査 売上げ減少等 86%が長期停止の影響を予想

日本原子力産業協会は3月27日、「原子力発電に係る産業動向調査2011」をまとめた。回答企業の約87%が原子力発電所の停止長期化にともない、売上げ等に影響があるとしている。また今後売上以外で予想される影響としては、「人員の配置転換」(約25%)、「雇用の縮小」(約16%)、「他分野への資源(資金・人員等)の重点化」(16%)、「技術力の低下への懸念」(約15%)などが挙がっている。

この調査は、福島第一原子力発電所事故後の2011年度を対象とした原子力産業への影響を探る初めての調査で、今年度から、原子力発電所の長期停止による立地地域への影響を把握する目的で、定量調査では「立地道県内における地元雇用者数」を、アンケートによる意識調査では「原子力発電所の運転停止に伴う各社への影響」を新たに調査した。

原子力関係支出高(機器・設備投資費、運転維持・保守・修繕費、各種引当金繰入額、人件費等を含む)は電気事業者が約1兆8000億円で前年度比約3000億円(約16%)減少、鉱工業他の原子力関係売上高が約1兆7000億円で前年度比約800億円(約5%)減少となっている。

鉱工業他の受注残高は約2兆2000億円で前年度より約1000億円(約5%)の減少。

また、原子力関係従事者数(事務系・その他を含む)は約4万6000人である。電気事業者の従事者数は対前年度比で約300人(約3%)増加の約1万2000人で、鉱工業他の従事者数は同約100人(0.3%)減の約3万4000人。 原子力関係従事者数における地元雇用者数(発電所立地道県居住者。ただし一部電気事業者は立地道県の高校・大学等卒業者の数値を回答)は電気事業者約7000人(地元雇用者比率約60%)、鉱工業他約1万1000人(同約32%)で合計約1万8000人となり、従事者数全体の約39%を占めている。

2012年度の原子力業界の景況感については総じて「悪い」という回答がほとんどであり、現在の原子力関連事業を取り巻く景況を約86%(対前年度比+約14%)の企業が「悪い」と回答している。2013年度の景況感についても約75%が「もっと悪くなる」と回答した。

調査対象は同協会会員企業および原子力発電産業に係る支出や売上、従事者を有する営利を目的とした企業570社のうち回答のあった208社(電気事業者11社、鉱工業他197社)を調査対象とし、2012年10月25日〜同年12月21日に調査を実施した。報告書は4月に刊行する。


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