原子力予算は14%減 米国の2014年度予算要求

米国のB.オバマ大統領は10日、今年10月から始まる2014会計年度の施策に必要な歳出額を見積った予算教書を議会に提出した。原子力を管轄するエネルギー省(DOE)の予算要求額は現行水準より6.7%増の284億ドルで、技術革新やクリーン・エネルギー技術への投資を優先するという包括的アプローチ戦略を進める内容。このうち約28億ドルが割り当てられた再生可能エネルギー関係予算は55.9%という大幅な増額となる一方、原子力関係予算は7億3546万ドルで現行水準から13.9%の減少となった。

原子力予算の減額項目の中で最も端的なのは「総合大学プログラム」予算で、毎年計上されていた約500万ドルを全額カット。「放射線学関連施設管理」の経費も92.8%減額されたが、これは宇宙・防衛インフラ予算がゼロとなったためで、研究炉インフラであるアイダホ等にある国立研究所予算の500万ドルは0.3%増額となった。

「原子炉概念の研究開発と実証」予算も、34.5%の削減。次世代原子炉(NGNP)予算の3900万ドルを全額削ったのが大きいが、先進原子炉概念については930万ドル増やし3100万ドルになっている。

「小型モジュール炉(SMR)の認可技術支援」については7000万ドルが当てられており、現行水準から4.5%上昇。官民による経費折半で、出力30万kW以下の有望なSMR設計2件について設計認証の取得と商業化を促進するプログラムだ。

5年間に4億5200万ドルが連邦予算から提供される計画だが14年度予算による作業項目としては、支援対象枠の残り1設計に関するメーカーとの協力合意交渉を終え、概念設計報告書の作成を完了させる。また、すでに支援対象に決定したバブコック&ウィルコックス社の「mPower」で建設予定サイトの特性調査活動を完了し、原子力規制委員会に設計認証を申請させることになる。

「燃料サイクル研究開発」の要求額は8.8%減の1億6510万ドルとなったが、放射性廃棄物の集中中間貯蔵パイロット施設の建設・運転や本格的な規模の貯蔵施設、深地層最終処分場開発に向けた経費は3.6%増えて6000万ドル。ユッカマウンテン処分場計画に代わる使用済み燃料の管理処分計画を実行に移すための予算で、最初の10年間に56億ドルが必要との見方を示している。

14年度予算での作業項目としては、集中貯蔵施設の設計概念作成や閉鎖サイトからの使用済み燃料の搬出分析完了、深地層の掘削孔への処分に関する調査研究の継続などが挙げられている。


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