感度10倍、除染を効率化 熊谷組など 自走式で放射線測定

熊谷組、IHI、IHI建機は8日、放射性物質で汚染された地表面の放射線分布を建設機械に搭載した放射線測定器で面的に計測するシステム(=写真)を開発したと発表した。

放射線検出部に日本原子力研究開発機構(JAEA)が開発したプラスチックシンチレーションファイバー(PSF)を用いた計測システムを採用し、全地球航法衛星システム(GNSS)とともに建設機械(コンパクトトラックローダー)に搭載して自走させることで、1時間で2000平方メートルという早さでの正確な測定を可能にした。従来の放射線計測システムでは、人力で放射線を格子点で測定するため、同面積を測定するのに1メートル間隔のポイント計測でも50時間以上かかり、格子点間にある局所的なホットスポットを検出することが困難だった。

今回開発した高速計測システムを使うことで、除染作業の効率化を図ることができるという。

注目は従来に比べてPSFの本数を大幅に増やして感度を10倍以上に上げ、広い面積を短時間で計測可能にしたこと。また、検出部の遮蔽構造を工夫することで周囲(上方向、水平方向)からの放射線を50%以上遮断し、下方向からの放射線に対する感度を向上させて、地表面に存在するホットスポット等を確実に発見できるようになった。さらに、PSFの測定データとGNSSの位置データを通信回線でサーバーに集積し、表面放射線マップを作成できるようになった。

今後、森林除染分野などへの活用も期待されている。


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