首相「日本の責務」強調 UAE、トルコと相次ぎ原子力協定、受注に道 トルコ計画は日仏連合前提 安全技術など期待

安倍晋三首相はUAE、トルコとの首脳会談で相次ぎ原子力協定締結に合意し、協定が署名された。トルコの計画は三菱重工と仏アレバの日仏連合の新型軽水炉採用が前提。訪問先のトルコで3日会見した安倍首相は「福島の教訓を共有し安全性向上に貢献していくことが日本の責務」と国際的な役割を強調した。

安倍首相は4月30日〜5月3日、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、トルコを訪問し、原子力協定締結の手続きなど、資源・エネルギー分野を中心とする経済協力を含め、各国との「包括的パートナーシップ」を強化する共同宣言を発表した。今回の中東諸国訪問は、トルコで、シノップ・サイトの新規原子力発電所建設に関し、事実上、優先交渉権を獲得するなど、今後の日本のインフラ技術売り込みを見据えた安倍政権による本格的なトップセールス外交のスタートとなった。

訪問3か国のうち、日本との原子力協定が署名に至ったのは、トルコとUAEで、サウジアラビアとは今後、原子力協力に向けた事務レベル協議を進めることが確認された。安倍首相は3日、トルコで、R.T.エルドアン首相と、両国の主要経済関係者らも交えた首脳会談を行った。会談後、両首脳は、共同宣言に署名し、原子力協定とシノップ原子力プロジェクトに関する政府間協定を交換し、共同会見に臨んだ。

エルドアン首相からは、シノップ・プロジェクトに関し、日本に排他的交渉権を付与するとの表明があり、今後、国内メーカーによる取組が加速しそうだ。

日本とトルコとの原子力協定の締結は、11年1月より開始されたものの、福島原子力事故で中断、トルコは、他の3か国からの参画を歓迎しつつ、同じ地震国として、日本の耐震技術と事故対策に関心を示し、再度交渉継続となった。

また、サウジアラビアとUAEへの訪問で、安倍首相は、原子力、省エネ、再生可能エネの分野での貢献が可能なことに言及する一方、資源・エネルギーの安定供給を要請するなど、双方向での協力を進めていくことを確認した。


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