遮水壁設置など議論 対策委が始動 汚染水の恒久対策で

東京電力福島第一原子力発電所の事故炉廃止措置における汚染水処理対策委員会(委員長=大西有三・京都大学名誉教授)の初会合が4月26日に開催され、1〜4号機の安定化に向けた取組状況を確認し、大手ゼネコンより地下水流入の抑制策の提案を受けるなど、今後の中長期的対応の検討に着手した。

同委員会は、福島第一発電所の汚染水処理対策を総点検し「今後対応の方向性」第一弾を5月中にも取りまとめるなど根本的解決策を検討していく。

そのうえで6月中に親委員会の廃炉対策推進会議で見直される中長期ロードマップに検討内容を反映する方針だ。

初会合のこの日、東京電力からの報告によると、1日当たり400立方mの地下水が建屋に流入していると想定されており、地下貯水槽汚染水の地上タンクへの移送に加え、外部への汚染拡大防止のため、地下水バイパスの施工や陸側遮水壁の検討が行われている状況だ。

これに対し、恒久的対策として、大成建設、鹿島、清水建設から、建屋内への地下水流入量を大幅に低減する遮水壁施工が提案された。

例えば、鹿島の提案する「凍土遮水壁」(=写真)は、1〜4号機を取り囲む延長1400mに、凍結管を地盤中に1m位の間隔で設置し、管内にマイナス40度C程度の冷却材を循環させ、さらに凍結管周りに凍土の壁を造成するもの。凍土がとけない限り、完全な遮水性能が維持され、地震時にクラックが入っても、直ちに再固結する自己修復性がある。また電源喪失になったとしても、数か月から1年程度は完全融解せず、遮水性が維持可能であるという。

また、多核種除去設備でも取除けないトリチウムの処理について、日本原子力研究開発機構から、新型転換原型炉「ふげん」での重水精製実績の技術を応用する可能性について説明がなされた。


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