事故分析検討を開始 1号機出水など課題に 規制委が知見反映へ

原子力規制委員会は1日、福島第一発電所事故の分析を行う検討会を始動した(=写真)。

国会、政府等における事故調査報告で引き続き検証が求められている課題を始め、事故およびその後の対応によって受けた影響などを主な論点に、継続的検討を行い、必要な知見を安全規制に取り入れる考え。

検討会メンバーで元原子力安全委員の久木田豊氏(名古屋大学名誉教授)は、事故発生後、これまでに得られた技術的知見のフォローアップの必要も指摘しながら、長期的視点で検討が進められることを求めた。また、原子力学会で事故調査に関わる奈良林直氏(北海道大学教授)は、ハードウェア対策とともに、緊急時の対応のあり方についても検証すべきとした。

具体的な当面の検討事項としては、国会事故調報告書で「検証すべき様々な課題」としてあげられた事項に関連し、「1号機原子炉建屋内での出水」、「4号機原子炉建屋爆発の水素発生源」から調査分析に入ることとし、初回会合で早速、意見交換がなされた。大地震発生直後に起きたとされる1号機の出水については、国会事故調報告で、現場作業員からの聴き取りで明らかになったとしているが、現地調査ができず、出水元は不明となっている。また、4号機原子炉建屋爆発は、国会事故調と政府事故調とで水素発生源に関する見解が異なっている。これらに関し、原子力規制庁は、条件の整った段階で現場調査も行うほか、各事故調で掲げられた仮説の相互比較などを通じ、「少しでも不確定性を減らしていく」ことを、今後の議論の方向性として示唆した。


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