〈知野恵子・読売新聞編集委員〉

福島発電所事故以来、日本のエネルギー政策の不透明さは続いている。「30年代に原発稼働ゼロ」の方針を打ち出した昨年9月の民主党政府での「革新的環境・エネルギー戦略」は、政権交代を機に見直された。

今年3月からはエネルギー基本計画策定の議論が開始したが、年末までの政策決定は難しいだろう。今の日本は一言で「原発か反原発か」を言える状況にない。7月の参院選の結果をみてからの本格的なエネルギー議論の中で国が政策を明確にすることを期待するが、原発再稼働は、かなり時間がかかるだろう。今年3月の世論調査結果では、安全性が確認された原発の運転再開との政府方針について依然反対意見が多かった。

こうした状況で必要なことは地に足のついた議論だ。そのためには、多様な選択肢提示、安全性向上への新技術の集積、原発導入時から先送りされていた最終処分問題への解決努力だ。


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