〈D.フローリー国際原子力機関(IAEA)事務次長〉

原子力安全と核セキュリティの強化に向けたIAEAのビジョンや作業、ミッションを紹介する。

核セキュリティについては、90年代に露見した東独の核物質秘密取引問題などによりシステムの脆弱性が指摘されていたが、9・11後は放射性物質をばらまくなどの破壊工作、福島の教訓の1つとしてはテロリストが意図的に交流電源停止を引き起こす可能性が浮上している。要は人と環境と社会を電離放射線の悪い影響から守ると言うことだが、これが結局、原子力安全と核セキュリティの究極の共通目標であり、一部の加盟国では両方の規制の枠組を統合している。

福島後にIAEAは原子力安全に関する行動計画を採択したが、同計画を受けて、発電所の脆弱性の特定強化や緊急時対策の強化、規制当局のための自己評価ツールの開発などが行われたほか、IAEAも国際専門家会議で使用済み燃料の安全を始め、様々なテーマについて事故の教訓強化を進めている。また、福島の教訓を世の中に発信するため、包括的な報告書を策定中。2014年末の公表を目指して5つの作業グループがそれぞれのテーマで作業している。

安全強化の観点から見た規制当局の在り方としては、推進側から独立していること、人材や財務の点で資源が十分あり、能力が高いこと、法的権限を持ち、その責任を果たすことが求められる。この関連でIAEAも先日、規制システムに関する国際会議をカナダのオタワで開催したが、IAEAのピアレビューのすべての側面を活用していく重要性、規制当局の役割としてベンダーの所属国が輸出相手国に対する責任を持つ重要性が指摘された。

原子力安全とセキュリティの両方を強化していくためIAEAは今後も支援を提供していくが、これらはクルマの両輪として両方必要と言える。


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