〈W.マグウッド米原子力規制委員会委員(ビデオ・メッセージで講演)〉

世界では今なお、福島の教訓と対応に高い関心が寄せられている。米国では公衆の安全と健康を守る対策措置として重要度が最も高い「Tier1」を遅滞なく実施すべき項目として設定。様々な強化策のほかに、マークI、II型格納容器を持つBWRについてはベント系統の強化を指示した。これらはいずれも福島の教訓をベースにしたものだ。

例としては設計外事象の影響緩和戦略があり、ベースはB5bの要件。サイト内にある可搬式機器が事象対応に使える状態にあることが求められるとともに、その適切な配置と防護も求められる。具体的には可搬式ポンプや発電機、バッテリーなどを今後2回の定検時に全発電所で配備することになるが、要件は性能要求の形とした。

結果的として事業者は設計基準を超える過酷な自然現象の影響緩和のため、多様性と融通性を持った発電所固有のアプローチ「FLEX」を提案。これに従ってすでに300以上の安全関連機器が購入され、発電所に配備済みである。これらは取付け部が標準化されているため、どのサイト、2つの地域センターからのものでも取り付けが可能。事業者はサイト固有の状況に一番合った対応策を打ち出し、条件を満たすことができる。当然、これにはかなりの対話が必要で、NRCは事業者を定期的に訪問し、日常的に対話を行っている。

福島事故は日本で起こったのであるから、日本の規制当局が安全に対してどこよりも徹底した態度で臨むのは当然のこと。しっかりした規制の枠組があってこそ、いずれ米国でやっているような手順が固まってくる。

米国ではTMIを受けて運転面におけるエクセレンスの重要性を再認識し、INPOの設立を通して業界は献身的な努力を傾注。それを機に最高レベルの運転を実現できたのだから、日本がJANSIにより産業界の安全文化を向上させ、独自性をもった規制当局により、同様の成功を収めるよう願ってやまない。


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