〈渡辺氏 個人が判断できる基準を 廃炉工程の明確化も〉

大熊町は、福島県浜通りの中央に位置し、人口1万1500人、1次産業が中心、また発電所に従事する住民が多く、エネルギー供給の要を担っているという自負があったが、震災で町の状況は一変した。

全町民が避難を余儀なくされ、現在も役場機能のある会津若松市、いわき市に約6400人と全体の約6割が避難している状況だ。多数の住民が仮設住宅、民間借り上げ住宅に入居しているが、過半数の住民が持家を望んでいる。復興計画は昨年9月に「第1次大熊町復興計画」を策定した。一方、アンケートでは町民の約4割が「町に戻らない」と回答した。

直面する課題は、短期的には賠償、住宅確保、風評被害の問題があり、長期的には除染、中間貯蔵施設、廃炉処理と、学校を含む町外コミュニティの維持などの問題がある。

復興にむけて一番の問題は、生活再建などの時間軸が決まらないことだ。また帰還などに個人が判断できる線量の科学的な基準が必要だ。さらに原子力発電所の収束、廃炉工程の明確化をして町民の安心感を得る必要がある。

避難の長期化にともない課題が多様化しており、住民の思いに応えるため、きめ細かく対応しなければならない。避難生活の長期化が町政機能の維持を困難にしている。

2年以上経過した今も先が見えず、家族や友人、知人とも別れ厳しい避難生活をしている。

二度とこうした事を繰り返さないよう人類の英知を結集してほしい。

私たちもしっかりと自立の道を歩んでいく。


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