原産協会、新規制基準にコメント提出 「国際標準との整合性に配慮を」

原産協会は9日、原子力規制委員会が7月からの施行を目指す新規制基準に対し意見を表明した。規制当局と事業者側とが認識を共有し、国民の信頼回復に努め、「停滞しているわが国の原子力の1日も早い正常化」を図っていくことは、国民生活の安定と産業経済の再生のために不可欠で、国際社会に対する責務であるとの考えから、新基準が目指すべき方向に関して、4項目の意見を述べたもの。

意見表明に際して、まず、新規制基準の目指すところを、(1)事故の反省に立ち再発を防止するため世界最高水準の規制制度に改定(2)これを厳格に適用しわが国の原子力発電所の安全性を再評価(3)安全性が確認された発電所を順次再稼働(4)制度運用の改善を図ることにより国民の信頼を回復――することにあるとの考えを示し、さらに、今回の規制制度改革は、「従来の決定論的規制からリスクベース規制への転換を図ること」が底流にあるとの解釈を述べている。

世界最高水準の規制の実現に向けては、常に各国の動向に留意し、最新の情報収集に努め、必要に応じて改定を図るとともに、国際標準との整合性にも配慮すべきとした。また、諸外国では、適切な経過措置期間内で、運転を止めることなく、バックフィット手続きを進めることが一般的であることを述べ、新規制の施行においても、特定安全施設の猶予期間を5年間としている点について、規制当局からの国民に対する納得のいく説明責任を求めている。

今後の審査に関しては、プラントごとの評価について、規制委員会がスケジュール等を明確にし、知恵を絞って効率的に実施していくほか、当面の再稼働に向けた審査プロセスにおいて、地元の了解をいかに取り付けるか、政府との役割分担を決め意見交換を進めるべきとしている。

意見の結びとして、原子力の安全は、「事業者と規制当局との間には相互の信頼関係が構築されていることが前提」とした上で、従来の「行為規制」から、達成すべき目標を定める「性能規制」への転換を図る必要を訴え、より実効的な安全性向上を実現すべく、事業者側と規制当局との意見交換の場の設定を提唱した。

今回の意見表明は、規制委員会が実施した新基準案のパブリックコメントとして、同委に提出されている。


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