トリウム利用でも意見を聴取 原子力委

原子力委員会は9日、トリウム利用技術とその研究開発について、吉岡律夫・トリウム熔融塩国際フォーラム理事長、木下幹康・東京大学人工物工学センター客員研究員から意見聴取した。

トリウム利用については、トリウム‐ウランサイクル中でのプルトニウム発生量がウラン‐プルトニウムサイクルよりも少ないため核不拡散性が高いとする向きもあることや、日本には資源的価値のある鉱床はないもののレアアース資源であるモザナイト等の鉱石からとれてウランと異なる資源分布を持つことなどから検討されてきている。

トリウムを用いた溶融塩炉は第4世代の6つの原子炉システムの対象の1つとして採用されているが、日本原子力学会核燃料部会で2011年に軽水炉・高速炉におけるトリウム燃料の利用を検討しているものの、具体的な開発協力の検討を行うシステム枠組みの取決めには至っていない。

海外では主に自国内にトリウムを持つインド、カナダ、中国、ロシア、ノルウェー、米国などの国が設計研究や物性研究等の基礎研究を実施している。

日本は、熔融塩炉のキー技術である(1)熔融塩技術(2)炉内黒鉛製造技術(3)炉容器材料製造技術(ハステロイN合金)(4)高温融体技術――の全てを持っており世界的にも優位な立場であるため、費用面から国際共同研究プロジェクトに参加するなどの可能性も考えられる。

意見交換では、技術を蓄積して学術界でまとめていかないことには産業界や政府を動かすのは困難だという指摘もあった。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで