磁石でセシウム除染 山形大など 簡易法として有用性

山形大学と宮崎大学の共同研究チームは8日、磁石による放射性セシウム除染に関する実験結果を発表した。福島原子力発電所事故後の11年4月、飯舘村で採取した表層から1センチメートルの土壌試料を乾燥させ、ネオジム磁石で吸引される磁性成分と、それ以外の非磁性成分に分離し、各成分の濃度分析を行い、セシウム除染の可能性が明らかになったもの。

本試料を、山形大学のX線回析装置で分析したところ、磁性成分には、鉄鉱石に由来する成分は観測されなかったが、セシウムを吸着するバーミキュライトなどの層状粘土鉱物を含むことがわかったため、今回の成果は、これに吸着されたセシウムが磁石で分離されたものと考えられている。

本研究では、放射性セシウムで汚染された表層土壌に対して、全体で4分の1程度の重量の磁性成分を分離することによって、放射能値を半分以上低減できる可能性が示された。まだ、土壌からの完全なセシウム分離には至らないが、磁石という簡易な方法であるため、今後、改良を施すことで有用な除染技術となるかもしれない。


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