新設計画が重要な役割 原産まとめ 英国原子力産業の調査

原産協会はこのほど、英国の原子力産業の動向に関する調査報告を発表した。日本電機工業会と英国原子力産業協会(NIA)との協力で行われたもので、今後、日本で長期にわたり、原子力発電所の新増設が滞った場合の産業界に及ぼしうる影響を考察する際にも参考になるとしている。

英国では、1995年運転開始のサイズウェルB(PWR)を最後に、20年近く新規原子力発電所の建設が行われていなかった。そのため近年、5つのサイトで計1600万kW分の計画が進められているが、産業インフラ・サプライチェーンの整備、人材確保、研究開発など、改善も必要となっている。

調査結果の詳細については触れないが、サイズウェルB以降の新設計画が中止された結果、英国の産業力が失われたことは明確だとしている。一方、企業側では、国内外の他市場に参入し多角化するため、様々な戦略を追求し、原子力発電所新設に伴う主要機器の提供はできないものの、産業力を維持すべく、製造能力と生産量を向上させるよう努めてきたとし、特に、原子力発電所廃止措置計画の推進については、企業が能力と経験を維持するための成功例として評価している。この他、報告書では、これまでの英国におけるエネルギー・原子力開発の動向を紹介した上で、英国産業が新規の原子力計画に参加できるよう、現在、政府と業界が協同で実施している、専門技術の改善、競争力強化などの取組を述べている。


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