重大な課題と認識 震災直後から 原子力WG立上げ

「震災発生の直後、2011年4月に箱根での会合を予定していた」。

マンスフィールド財団は震災の発生以前から日米委員会を設けて、日米のそれぞれのエキスパートが日米の戦略的な課題について話し合っていた。当然、原子力発電所事故の問題が大きな関心事項に。

「この委員会で日米の関係において最優先事項としてトップ5を策定しようということだったが、福島第一原子力発電所の事故を受けて原子力問題が重要な課題に浮上した」と当時を振り返る。

「メンバーは原子力問題が日本のみならず米国にも重大な課題になるとの認識で一致した」結果、この箱根の会合を起点として、震災後迅速に日米原子力WGを設置し活動を開始した。国際的な視点から検討、日米両国に有益な提言のとりまとめにむけて日本の利害関係者と広く議論を行ってきた。

現状でも原子力発電は再稼働など困難な状況で、先行き不透明感はぬぐえない。

個人的な意見としながらも、シェイファー氏は現在の日本の状況について「再稼働の道筋が見えない」と懸念する。日本の規制機関による各原子力発電所の再稼働審査の進め方は不透明であるし、「まだ活動を始めたばかり、米国の規制機関に比べ人材等資源も限られている」こともある。

問題は日本の原子力政策の停滞が、国際的な問題に連なっていることだ。米国の関心も高い日本のプルトニウムの利用方策の問題はそのひとつ。「日米間の原子力協力協定(123条協定)の再交渉が2018年に迫っている」だけに、「米国としても、核不拡散の面から懸念材料だ」という。

基軸関係にある日米両国が中心になって、不透明感と国際的な懸念を払拭しつつ、諸課題への対応に、着実な歩みを進めねばならない。今回の提言にはそのための処方箋が盛り込まれている。

「5月にはワシントンでラウンド・テーブルをいくつか開催する。日米の関係当局の要人に説明をし、提言の具体化にむけてコメントをもらう。9月には日本で同様のラウンド・テーブルを開催する予定だ」という。


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