最終処分計画見直しへ 総合エネ調廃棄物小委 自治体意見聴取も

経済産業省の総合資源エネルギー調査会・放射性廃棄物小委員会(委員長=増田寛也・野村総合研究所顧問)が28日、福島原子力発電所事故後、初めて開かれた(=写真)。

高レベル放射性廃棄物処分の立地選定が進まない状況のもとで、最終処分に関する取組の抜本的見直しを図るために、今回の小委員会再開となった。

高レベル放射性廃棄物の最終処分に向けては、2000年の法整備を受け、02年より、実施主体である原子力発電環境整備機構(NUMO)が、全国市町村を対象に調査地区の公募を開始した。処分地選定は、文献調査、概要調査、精密調査の3段階で行われ、最終処分計画(08年3月閣議決定)によれば、精密調査地区の選定は、「平成20年代中頃」となっているところ、現時点、具体的進展はなく、12年9月には、日本学術会議が処分政策の抜本的見直しを提言している。

28日の会合では、資源エネルギー庁がこれら放射性廃棄物を巡る経緯・現状を、NUMOが処分事業に関する理解活動、技術開発などの取組について説明した上で、これまでの反省点を(1)処分事業の必要性・安全性に対する理解・合意が不足(2)政府としてのコミットが不十分(3)調査を行うことについての地元が負う責任・負担が重過ぎ(4)調査や事業に対する地域住民の参加のあり方が不明確――などと推察し、整理した。

委員からは、地域ワークショップに関わったジャーナリストの崎田裕子氏が、安全性への信頼感不足を課題として指摘したのに対し、東京大学新領域創成科学研究科教授のコ永朋祥氏が、地層処分の信頼性を取りまとめたいわゆる「2000年レポート」以降の技術進歩に言及し、概念が固定化されてしまうことへの危惧を示すなどした。また、福井県知事の西川一誠氏は、立地地域の立場から、県内発電所に蓄積される使用済み燃料の行方を懸念した上で、「消費地域でも考えて欲しい」などと訴えた。

小委員会では、最終処分計画の改定を目指すが、特に、スケジュールは明示しておらず、検討が一定程度進捗した段階で、都道府県等が参加する「使用済み核燃料対策協議会」を設置し、意見聴取を行う見通しだ。


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