欧州の濃縮共同企業体・ウレンコ社が民営化へ 蘭政府も株売却の意向表明

オランダ政府は23日、英国およびドイツと3分の1ずつ保有していたウレンコ社株を売却する意向を表明した。すでに英・独が揃って同社株の売却を希望していることに伴うもの。これにより世界のウラン濃縮市場で第2位のシェアを占める大企業が全面的に民営化される公算が強まったが、オランダ政府は売却条件として「核不拡散や原子力安全および供給保障の面で公共の利益が効果的に保証されること」を明示しており、売却内容やタイミングなどの詳細は3国が協議した上で、夏にも公表されると見られている。

ウレンコ社は、米国一国のみによる1960年代の世界の濃縮ウラン供給体制から脱却するため、英独蘭の3国がアルメロ条約に基づく国際共同企業体として1971年に設立。3国と米国で年間1万6900トンSWU規模の遠心分離法濃縮設備を操業しており、現在はロシアのTENEX社に次いで31%の世界市場シェアを占めている。顧客は18か国の約50社にのぼっており、日本の原子炉がほとんど停止中にも拘わらず2012年の総収益は前年実績から23%増の16億ユーロ強となった。

しかし福島事故後、ドイツ政府による脱原子力政策の影響から、ウレンコ社株を保有していた同国のRWE社とE・ON社は株売却の方針を表明。英国政府も今年4月、「英国経済の堅実かつ持続可能な成長に公有資産の売却益を充てる」という政府戦略に従い、同社株の一部もしくはすべてを売却する手続きを開始したと発表した。ただし、英国の安全保障と核不拡散が守られ、英国の納税者に相応の価値がもたらされると確信した場合にのみ、実行するとしており、モルガン・スタンレー社の助言に沿って同国が進める手続きの詳細は他の2国による合意を経て明らかにする考えだ。

こうした動きを受けて、オランダ政府は英・独の保有株が民間に売却された場合、同社の大株主として公益の保護を監督してきた公的機関が、もはや多数派でなくなる可能性に注目。内閣も「好ましい立場ではない」との見解を示しており、同社株を保有し続けるより別の方法で問題の公益が守られるのであれば、同様に売却すべきとの考えに到ったと説明した。

なお、同社株の買い手としては仏アレバ社、カナダのカメコ社、および日本の東芝が関心を表明したと伝えられている。


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