既存炉を最大60年稼働へ スウェーデンのバッテンフォール社

スウェーデンの大手電力会社であるバッテンフォール社は22日、同社が所有するリングハルスとフォルスマルク両原子力発電所の7基で大規模な改修工事を行い、比較的新しい5基については最大60年間の稼働継続を念頭に置いていることを明らかにした。

同国では約30年間の脱原子力政策の後、2011年1月に既存炉の建て替えを許可する法案が発効したが、その後の福島事故を経て原子炉の建設は微妙な状勢だ。バッテンフォール社は昨年8月、既存炉を代替する原子炉の建設可能性について情報分析する申請を規制当局に申請していたが、今回は「長期見通しでは電力需要が伸びず、2030年まで原子炉新設の必要が無くなった」と述べた模様。新設計画を先送りする一方、これまで50年間としていた継続運転の上限を10年間引き上げる方針を打ち出したと見られている。

2サイトの7基は1975年から85年までの間に運転開始したもので、バッテンフォール社は近年、これらの運転を長期間継続させるための技術的および経済的な必須条件について新たな評価作業を実施。70年代に運開したリングハルス1、2号機は50年間、80年代に運開した同3、4号機とフォルスマルク原発の3基については60年間までという条件が判明したとしている。

同社はこれに続き、原子炉を安全かつ経済性のある状態で60年間運転する際の必要投資額についても審査する計画だが、これは具体的な廃止日程の特定を意味するものではなく、特定の総稼働年数に対する投資額算出のベース作りが目的だと説明した。

同社は既に、スウェーデンの原子力開発利用史上、最大規模となる設備近代化プログラムを進めており、17年までの5年間で160億クローナを投入。この近代化プロセスを技術基盤とし、原子炉をさらに数十年間運転継続するための道筋を付けるとしている。


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