イランの濃縮活動継続を憂慮 IAEA国際原子力機関(IAEA)が22日付けでとりまとめたイランの原子力関連活動に関する報告書で、ナタンズにある遠心分離法ウラン濃縮工場(FEP)に設置された最新型遠心分離機「IR−2m」の基数が689基に達し、20%に濃縮されたウランも合計324kgとなったことなどが明らかになった。 IAEAの天野之弥事務局長は、国連安保理およびIAEA理事会による度重なる決議、およびIAEAとイラン側関係者の協議にも拘わらず、同国がウラン濃縮や重水減速研究炉(IR−40)の建設活動を継続していることを憂慮。すべての核物質は平和利用目的だとする同国の主張を確証するには到らず、核開発疑惑問題を解明するため、すべての関連情報や文書、サイト、核物質および職員に対するIAEAのアクセスを可能にするよう訴えている。 この報告書は天野事務局長が理事会用に作成しているもので、今年2月の前回報告書以降のイランにおける原子力関連施設の活動状況を網羅。それによると、同国では2月から5月の間に5%の濃縮ウランを新たに689kg生産、総量は8960kgとなった。また、20%の濃縮ウランは44kg増加して324kgとなっている。 施設別情報としては、5%までの濃縮を行うFEPでIR−1型遠心機に加えIR−2m型の設置を継続中。5月15日現在、同機で4つのカスケードの設置を終えたほか、もう1つを部分的に設置。13のカスケードの設置準備が完了した。 また、フルドウにある濃縮工場(FFEP)では5%および20%までの濃縮が可能で、設置されている遠心機はすべてIR−1型。しかし、設計上の設置能力である2976基の遠心機、16カスケードのうち、どれが5%濃縮用、あるいは20%用であるか、イランは未だにIAEAに情報提供していないとしている。 お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで |