日仏 安全、サイクル連携強化 原子力など成長分野で共同声明

安倍晋三首相とフランソワ・オランド仏大統領は7日、会談後に官邸で共同記者会見を行い、政治・安全保障、経済、文化での協力に関する「日仏共同声明」と、5年間で具体的に実現するための「ロードマップ」と「文化に関する共同声明」を発表した。これにより両国は成長分野として原子力について広範に連携強化を推進することになった。

共同声明では、民生原子力エネルギーに関するパートナーシップの強化を掲げている。燃料サイクルについては、六ヶ所村の再処理施設の安全かつ安定的な操業の開始、使用済燃料の再利用、放射性廃棄物の減容化・有害度低減などで協力を深めていくことなどが挙げられた。

安倍首相は、共同声明について「イノベーションを喚起し、成長機会を共有するため、航空宇宙や原子力などの分野で日仏の企業間協力を推進し、経済成長を促す」とした。

オランド大統領は、経済協力のよい例として日仏の企業が共同で開発した原子炉がトルコで受け入れられたことを挙げ、エネルギーを始めとする多くの分野で協力が可能だとして「とりわけ質のよい協力をこれから前面に押し出したい」と力をこめた。

さらにロードマップでは18の目標が挙げられ、政治・安全保障分野では、NPT体制の維持・強化に向けた連携、国際原子力機関(IAEA)追加議定書未締結国に対するIAEA支援の奨励、ウラン濃縮活動を含む北朝鮮の核・弾道ミサイル計画放棄に向けた努力継続と情報交換、イランに対する「対話と圧力」強化など、軍縮・不拡散のための協力が盛り込まれた。

また、経済・科学技術・地球規模課題では、原子力に係る戦略および政策に関する情報交換、規制当局間の協力促進など原子力安全強化、福島第一原子力発電所事故を受けての廃炉や除染などの対応、燃料サイクルに関する協力と使用済燃料の再処理・再利用ならびに廃棄物の処理、高速中性子炉に関する共同研究・開発、日仏第3世代炉ATMEA1など第三国における協力を含めた産業および原子炉に関する設備やサービスに関するサプライチェーンなどの民生原子力分野での協力の強化などについて明記された。

また両首相の立会いのもと、川井吉彦・日本原燃代表取締役社長とL.ウルセル・アレバ最高経営責任者が将来の原子燃料サイクルに関する共同声明を交わした。


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