新興国の人材、国内技術維持も 国際展開でシンポ

原子力発電の国際展開に関するシンポジウムが5月30日、早稲田大学(東京・新宿区)で開かれ、新興国における基盤整備、人材養成や、プラント技術開発の現状に関する発表を受け、今後の輸出戦略など、意見が交わされた(=写真)。

シンポジウムではまず、原子力国際協力センターの鳥羽晃夫氏が、主に政府からの協力窓口の立場として、研修コース等の開催を通じて、新規導入国における人材育成、知識の普及などに取り組んでいることを紹介した。同氏は、人材養成の観点から、日本における国際協力に関して、他国から高く評価されている面もあるとする一方で、言語のハンディ、研修生のレベル低下など、問題点も指摘し、「国全体での整理が不十分」として、産学官連携の取組「人材育成ネットワーク」の活動に期待を寄せた。

また、ベトナムの原子力発電プロジェクトを支援する国際原子力開発からは、高橋祐治取締役が、福島発電所事故後、同国に対して、積極的に情報提供を行ったところ、「原子力開発の推進に変わりはない」とする表明があったことを述べたほか、特に、産業育成面で、ポンプなどの国産化を促す取組で、期待する成果が得られたとしている。

この他、東芝、日立製作所、三菱重工業から、各社が開発する炉型ごとに、安全性、信頼性、経済性に優れたプラント輸出戦略が紹介され、コンポーネント輸出などにより、国内の需要が停滞した間も技術力を維持していく必要も強調した。


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