ECが原子力安全指令の改定を提案 6年毎に拘束力のある審査

欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会(EC)は13日、加盟各国の原子力発電所で法的拘束力を持つ安全審査を6年毎に課すなどの条項を盛り込んだ新たな原子力安全指令を提案した。福島事故を受けて2009年の安全指令を厳しく改定する内容で、事故リスクを大幅に低減し、住民と環境を防護するために、すべての発電所に緊急時対応センターを設置するなどを明示。産業界は「欧州全体の安全枠組としては技術的に詳細すぎるし、各国規制当局の権威が損なわれかねない」などの見解を表明しており、欧州理事会等の承認を受けて確定するまでには紆余曲折が予想される。

ECのG.エッティンガー・エネルギー担当委員は「原子力を使うも使わぬも加盟国次第だが、今現在、欧州に132基の原子炉が稼働しているという事実は変わらない」と指摘。その上で、ECにおける自分達の任務はその1つ1つの安全性を最優先で確保することだとし、新指令の主なポイントを次のように説明した。

安全目標=加盟国は事故時に放射能が環境中に出る可能性が実質的に排除されるよう保証する。

EU全域における法的拘束力を持った6年毎の審査=加盟国は多国籍チームが実施する審査において、共通する方法論や個別の課題に連帯合意する。また、勧告事項を実行に移す責任を有しており、これに遅れや不履行が生じた場合はECが加盟国に確証ミッションを派遣する。

国内審査=各原発は少なくとも10年に1回の定期安全審査、また運転期間延長の際には特別審査を受ける。

新規の原子炉=すべての新設炉は炉心損傷時にも安全性が確保され、外部に影響を与えない設計とする。

サイトでの緊急時準備体制と対応=すべての原子力発電所で放射能や地震、津波から防護するための緊急時対応センターを設置し、厳しい事故管理指針を実行する必要がある。

新指令ではこのほか透明性に関して、各国の規制当局および事業者が住民に対する事故時および通常運転時の情報伝達戦略を策定するよう明記。この戦略は公表されなければならず、新設原子炉の許認可手続きにおいても住民は意思決定プロセスに参加する機会が与えられる。

また、各国の規制当局はその意思決定において独立の立場を有すること、その安全目標は政治的、経済的、および社会的な利益より優先することを保証。効果的な活動を行うために十分な資金と専門スタッフを備えていなければならないとしている。


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