[先端機器等の耐放射線性評価 福島第一 現場作業ロボットなどの開発を支援]

国際宇宙ステーションの日本実験モジュール「きぼう」をはじめ、宇宙開発は着実に進展し、最近とみに注目が高まっている。宇宙空間で使われるコンピュータなどに搭載される半導体素子は放射線で誤作動しないことを事前に確認することが重要だ。耐放射線性能評価の技術は原子力機構が長年取り組んできた得意分野。高崎量子応用研究所(高崎研究所)の照射施設を使い、宇宙空間で誤作動の原因となるシングルイベント効果の発生時の半導体素子の挙動について研究を積み重ねてきた。ITER等で使用される高分子材料・機器類の耐放射線評価も、多くが高崎研究所で実施された。

福島第一原子力発電所の廃止措置等の高放射線下での作業用ロボットに搭載される半導体素子などの高性能部品の耐放射線性を評価する技術に、こうした技術蓄積を活かそうと、原子力機構では、高分子系材料・機器の耐放射線性データベースとして蓄積してきたデータを整理、拡充してロボット等の開発を支援する準備を進めている。900件近いデータが集約されたデータは、作業用ロボットが高放射線環境の下で誤作動等しないよう、半導体デバイスをはじめ各種ケーブルやシール材等の耐放射線性に優れた高分子材料の評価に活用が期待されている。

また高崎研究所に整備された照射施設で耐放射線性の評価試験を行う計画もあり、必要な試験設備の準備などが進められる予定。原子炉圧力容器内の調査などを行う作業ロボットの遠隔装置・機器や、調査のための水中カメラに搭載される半導体素子などを対象とした試験が今後実施されるという。宇宙や核融合など最先端技術を支えている耐放射線性の評価技術は、これから福島事故炉の収束を支援する一連の技術開発をも支えていくことになる。(写真はコバルト60照射施設)


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