[RIイメージング技術 セシウムを簡便に測定 食品検査など ニーズ踏まえ]

レントゲンのように、放射線を使って”見る”技術は、人間の体や、工業製品や植物の内部構造も調べることができ、一般に幅広く普及していることは周知の通りだ。

原子力機構は高崎量子応用研究所(高崎研究所)にあるイオンビーム照射施設を活用して、放射性同位元素(RI)で標識した放射性トレーサと先端的なイメージングシステム技術開発を進めており、植物の栄養の取り込み方などを精密に調べる研究を進めてきた。

稲に吸収されたカドミウムの動きを初めて観測するなど成果をあげてきている。

この技術を応用することで、放射性セシウムの正確な測定が可能。最近では東京大学や秋田県立大学と共同で、食品や土壌などに含まれるセシウム134とセシウム137を区別して定量する簡便な手法の開発に成功した。

一般的な表計算ソフトを用いるシンプルかつオープンな手法のため、追加コストを要しないうえに、現場の様々な事情に合わせてアレンジ可能な測定方法に工夫されているのが特長だ。

福島第一原子力発電所の事故以降、土壌や農作物、食品などに含まれる放射性セシウムを定量分析することが必要だが、セシウム134とセシウム137を見分けるには高価なゲルマニウム半導体検出器(1000〜2000万円程度)で測定する必要があった。しかし、様々なニーズで測定が行われている現状を踏まえ、安価なNaI(TI)スペクトロメーターで測定できる手法の開発にこぎつけたもの。

測定器の性能の最低条件や標準試料の用意や計測データの解析、換算式の作成、そしてセシウム134とセシウム137の算出に至る測定の仕方なども紹介し、現場のニーズに広く応えることができる測定方法を実現した。


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