WH社等3社が応募 DOEのSMR支援計画

東芝傘下のウェスチングハウス(WH)社は1日、開発中の小型モジュール炉(SMR)(=写真)の試験用燃料集合体2体を完成したと発表した。同時に、今年3月に米エネルギー省(DOE)が公表したSMR開発・商業化促進プログラム第2回目の募集(FOA)にも応募しており、世界市場に初のSMRを提供する準備が整いつつあると強調している。

試験用燃料はサウスカロライナ州のコロンビア燃料加工施設で製造したもので、WH社では現在、燃料設計の流動試験に先立つ最終準備作業中。SMRの模擬運転を通じて燃料設計の性能を確認する計画で、同試験は8月一杯継続する。

WH社のSMRは電気出力22.5万kWの一体型PWRで、すべての1次系機器を圧力容器の中に収納。技術が確証済みの機器や受動的安全系に加え、モジュール建設工法など、大型炉のAP1000で認可された技術を採用しており、最高レベルの安全性と機器数の削減が達成されたとWH社は説明している。

DOEのSMR開発・商業化促進プログラムは、民間企業との経費折半により、2022年までに有望な革新的SMR設計2件について商業化のための設計エンジニアリング、認証および許認可の取得を支援する内容。5年間に政府から約4億5200万ドルが提供される計画で、すでに昨年11月、バブコック&ウィルコックス(B&W)社の「mPower」設計が1回目の募集で対象設計に選定された。

もう1つの対象枠については7月1日が応募締め切り日となっていたもので、選定結果は来年1月16日にDOEから発表される予定である。

ニュースケール社

米オレゴン州のニュースケール社も今年3月の基本合意書に続き、1日に電気出力4.5万kWの小型一体型PWRの申請書をDOEに提出した。

同社は大手エンジニアリング・資材調達・建設(EPC)契約企業のフルアー社を大株主としており、「米国人が米国の技術でクリーン・エネルギーを世界に輸出する」というDOEのSMR開発コンセプトに合致する、100%米国籍である点がセールス・ポイント。水の自然対流による冷却性能に加え、ポンプやその他の機械装置なしで原子炉を安全に停止可能な固有の安全性を備えたSMRを独自の特許技術により開発中で、最大12基のモジュールの統合により電気出力を54万kWまで拡大することができるという。

昨年秋に1回目の選定から漏れた後、同社は今年4月に、交流・直流のいかなる電源や冷却水の補充、運転員の操作も要せずに原子炉を冷却する画期的な技術成果を収めたと明言。6月下旬には、SMR初号機を2024年までに実証・建設するための調査で、アイダホやアリゾナなど西部地方の複数の州政府、および2つの電力会社で構成される支援組織が発足したことを明らかにした。

ホルテック社

米サウスカロライナ州のホルテック・インターナショナル社も今月1日、電気出力16万kWの「SMR―160」設計でDOEのプログラムに応募したと発表した。

ポンプもモーターも使用しないSMR―160は運転時と緊急時のすべてのコンディションを重力駆動とするなど、最も深刻な天災にも耐え得る設計になるとホルテック社は説明。ニュージャージー州でセイレムおよびホープクリークの両原子力発電所を操業するPSEGパワー社を戦略チームに加え、原子炉の運転や運転員教育、開発手続きやサイトの安全性、および規制・許認可に関する案件など、同社の主要な専門的知見を活用する。

また、6月末にはアーキテクト・エンジニアリング大手のURSニュークリア社とも覚書を結び、SMR―160のエンジニアリング・建設で協力体制を構築。SMR―160を連邦規則で認定された標準設計とするため、様々なシステムの設計や機器の配置、設備特性の選定などでURS社の支援を仰ぐ計画だとしている。

同社はさらに、昨年3月にSMRの開発・建設支援に関する協力合意文書をDOEのサバンナリバー国立研究所と締結していることから、同研究所サイトに初号機が建設される可能性がある。


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