廃棄物処分法案を提出 米上院議員4名が超党派で

米議会・上院の議員4名は6月27日、全米各地の原子力発電所サイトで貯蔵中の使用済み燃料を安全に管理・永久処分するための包括的な法案を超党派で提出した。

膠着状態にある同課題を解決するため、専門の連邦機関の創設や地元の合意に基づく中間貯蔵施設と深地層最終処分場の建設など、ユッカマウンテンに代わる管理処分対策を検討した政府の有識者特別(ブルーリボン)委員会の勧告を早急に実行に移し、連邦政府による廃棄物管理責任を速やかに果たすことを目的としたもの。これを受けて、上院・エネルギー天然資源委員会は7月中に同法案に関する公聴会を開催するとしている。

今回「放射性廃棄物管理法2013」を提出したのは、エネルギー天然資源委員会のR.ワイデン委員長(民主党)のほか、同じ民主党員のD.フェインステイン議員、および共和党のL.アレグザンダーとL.マコウスキーの両議員。使用済み燃料の集中貯蔵・処分システムが完成すれば、低炭素な原子力発電による電力供給の機会が一層拡大可能になるほか、原子力の商業利用と軍事利用から出た高レベル廃棄物の安全性と一般公衆の防護を長期的に確保できるとしており、具体的な法案内容を次のように説明した。

放射性廃棄物管理機関

連邦政府の専門機関を新たに創設し、エネルギー省(DOE)に代わって放射性廃棄物プログラムを管理する行政官1名を大統領の指名、および上院の助言と同意に基づき任命。同機関の作業を監視するため、行政予算管理局(OMB)やDOEおよび陸軍工兵隊の幹部職員で構成される監督審議会を設置する。

同意ベースによる集中貯蔵施設と処分場の建設

新機関は閉鎖原発や運転中原発から緊急搬送される使用済み燃料のパイロット貯蔵施設を建設。また、優先順位の低い使用済み燃料やDOEの軍事廃棄物の集中貯蔵施設を暫定ベースで1つかそれ以上建設するとともに、貯蔵施設と処分場の両方に適用する新たな立地プロセスを制定する。

これに際して新機関に課される要件としては、サイト評価のための技術指針の設定や受け入れ意志のある州や自治体の募集がある。また、サイト調査に対する同意の取り付け、同調査の実施に先立つ複数回の公聴会開催、規制当局から貯蔵・処分施設の建設・操業許可取得などが含まれる。

貯蔵施設と処分場間の連携

行政官には集中貯蔵施設の立地を直ちに開始する権限を与えるが、貯蔵量に制限は設けないこととする。貯蔵施設を建設・操業する間、行政官は処分場の立地・建設を進めるよう求められ、実質的な進展がないと行政官もしくは監視審議会が判断した場合、貯蔵施設へのさらなる使用済み燃料搬入を停止する。

放射性廃棄物基金

財務省に新たな作業設備基金を創設し、電力会社から徴収する年間7億6500万ドルを預け入れる。既設の放射性廃棄物基金にすでに預金済みの基金(今年1月現在で282億ドル)はそのまま同基金に留め置く。


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