[原子力産業新聞] 2013年7月11日 第2678号 ＜4面＞

追尾照射を可能に　三菱重工　新装置が京大で稼働

三菱重工業は６月２８日、京都大学附属病院で、すい臓がんに対する動体追尾強度変調放射線治療（動体追尾ＩＭＲＴ）が開始されたと発表した。同社が京都大学に納入した放射線治療装置「Ｖｅｒｏ４ＤＲＴ」（＝写真）によるもので、呼吸などに伴い揺れ動くがん病巣をリアルタイムに追尾し、狙った病巣をピンポイントで連続照射する動体追尾機能に、最新照射技法の１つである強度変調放射線治療（ＩＭＲＴ）を融合した方式を用い、これにより、一層高い精度の照射が可能となる。同社によると、リアルタイムモニタリングによる動体追尾ＩＭＲＴは世界初。

ＩＭＲＴは、照射箇所の線量分布強度を変調させ、多方向から照射することで、複雑ながん病巣の形状に一致した高線量領域を形成するとともに、周辺臓器への線量を低減できる最新の照射技法だ。

三菱重工業の「Ｖｅｒｏ４ＤＲＴ」は、画像処理技術と放射線照射技術の融合により、揺れ動くがん患者の病巣もリアルタイムにモニタリングしながら、高い精度で追尾照射できる最先端の放射線治療装置で、今回、ＩＭＲＴへの融合により、正常組織への副作用を極力回避するだけでなく、患者、医療スタッフ双方の負担も軽減できそうだ。

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