今後のあり方で改善策 「果たすべき責務」再認識 事故が「課題を提示」 原子力学会 パブリックコメント実施

日本原子力学会の福島発電所事故調査委員会(委員長=田中知・東京大学工学系研究科教授)では31日まで、学会の今後のあり方について、意見募集を行っている。調査委員会での議論を通じて抽出された課題から、自らの組織的・社会的問題点とも向き合う必要に立ち、改善策を取りまとめたもの。

12年7月に始動した事故調査委員会では、学術的組織の責務として、学会の今後のあり方を検討材料の1つに掲げ、アンケート調査を学会幹部経験者らを対象に実施し、その結果を今春、中間報告と合わせ発表している。最終報告は、年内に取りまとめることとしているが、関連の国際シンポジウムや、外部の意見も踏まえた上で、事故調として、このほど、「果たすべき責務」、「自由で率直な意見交換を行える雰囲気の醸成」、「学際的取組の強化」――など、原子力学会の今後のあり方について、5項目からなる改善の方向性を整理した。

改善策ではまず、今回の事故が、「真に社会からの信頼と負託に応えてきたかについて、反省を迫るとともに被災地域の復興と日本の再生に向けて学会が総力をあげて取り組むべき課題を提示した」ものとみて、専門家集団の一員として果たすべき責務を再認識すべきとしている。

また、「自由な意見交換が行える雰囲気が乏しかった」との指摘を受けて、各会員自らが携わる研究の役割と意義を公開し、積極的に説明することを通じて、「社会との建設的な対話」を築いていくことなどを掲げ、学会における「自由な議論」の醸成に努めることとした。

この他、原子力安全研究における指導的役割の発揮、他のアカデミアを含めた俯瞰的な討論・協働、安全規制の継続的改善に向けた標準策定活動と成果の啓発などをあげている。

意見応募要領は、原子力学会ウェブサイト(http://www.aesj.or.jp)を参照。


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