標的の密閉、両機構の連携など KEK/JAEA J−PARC事故原因分析

高エネルギー加速器研究機構と日本原子力研究開発機構のJ―PARC事故に関する有識者会議は5日、放射性物質漏えい発生の主要な原因、安全管理体制の問題点を整理した。

J―PARCのハドロン施設で5月23日、標的の金に陽子ビームを照射し、素粒子を発生させる実験をしていたところ、誤作動により、生成された放射性物質が管理区域外に漏えい、被ばく者が発生した事故を受け、両機構は有識者会議を設置し検証を行っていた。

5日の会合では、事故の調査検討を行う作業部会が、「異常なビームの取り出し」、「標的の損傷」、「1次ビームラインへの漏えい」、「ハドロン実験ホールへの漏えい」、「ハドロン実験施設外への漏えい」の5段階に分けて、主要な原因の説明がおこなわれた。

それによると、シンクロトロンの遅い取り出し用電磁石電源が正しく応答せず、リング中の大量の陽子が急激に取り出され、短時間に金の標的を貫通し、温度が上昇、一部が溶解して、生成された放射性同位元素が大気中に飛散した。また、標的が密閉されていなかったため、放出された放射性物質がコンクリート遮へい壁の内部空間に広がり、さらに、遮へい壁の密封性も十分ではなかったことから、ホール内に漏れ出たものとしている。

安全管理については、事故時の情報共有、手順書の周知、教育訓練、放射線監視装置の配置に関する問題の他、両機構の連携体制の見直しにも言及し、今後の再発防止対策につなげていく考えだ。


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