セシウム汚染防止の成果発表 農水省ほか 簡便な回収ロボットなど

農林水産省は9日、農作物への放射性セシウム汚染防止対策に関する研究成果を発表した。府省横断の取組を推進する「科学技術戦略推進費」により、研究機関、大学、自治体などの知見を糾合して実施されているもの。放射性物質濃度の基準値超過が発生している農産物の生産上の課題に対応し、作物中の放射性セシウム濃度が高まる土壌の要因解明や、これを低減する対策技術・分析法の開発がテーマだ。

このなかで、産業技術総合研究所を中心に開発されたセシウム回収ロボット(=写真)は、水田で簡便に利用でき、低濃度でも田面水やかんがい水等の農業用水中の溶存態と懸濁態の放射性セシウムを分別して分析できるよう改良を加えている。懸濁態の分離用のフィルタ、溶存態セシウムの回収にはセシウムを選択的に吸収する工夫をした不織布を用い、良好な性能データを得ているという。

水田に流入する水に含まれる放射性セシウムは、水に溶けている「溶存態」の他、浮遊する土壌粒子や有機物などに吸着・固定されている「懸濁態」があり、存在形態によって、水稲の吸収に及ぼす影響が異なることが示唆されており、農業用水中で低濃度でもこれらを分別し分析する方法が求められていた。今後、福島県での実証試験を続け実用化を目指す。


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