産業界の安全向上でWG 経産省が設置、初会合 意識改革も議論

「『安全神話』との決別」を第一に掲げ、産業界による自主的かつ継続的な原子力安全の取組を検討するワーキンググループ(WG)が17日、東京・霞が関の経済産業省庁舎で初会合を開いた(=写真)。原子力の安全確保の一義的責任を負う事業者が、常に規制以上の安全レベルの達成を目指すべきとの考えから、このWGは、規制サイドとは別に、産業界の意識改革や自主的対策のあり方を検討するため、総合資源エネルギー調査会に設置された。メンバーは、座長を務める製品評価技術基盤機構理事長の安井至氏他、10名の有識者に加え、オブザーバーとして、産業界より、電力、メーカー、日本原子力産業協会、原子力安全推進協会も参画し、より現場に即した議論を展開する。

初会合では委員の尾本彰氏(東京工業大学特任教授)が、福島発電所事故を踏まえた社会的安全目標のあり方、施設の弱みを定量的に把握することなどを課題にあげた。また、規制委員会の新基準策定にも関わった山口彰氏(大阪大学工学研究科教授)は、エネ庁が検討に先立ち掲げた論点項目に対し、「なぜできなかったのか」を根本的に掘り下げる必要を指摘したほか、今後の議論に向け、重要なキーワードへの共通認識を委員の間で明確にすることを求めた。

安全研究関連では、上塚寛氏(日本原子力研究開発機構理事)が、自身の経験も踏まえ、研究者が「安全神話」に陥ることを危惧し、考え方を根底から改める必要を訴えたほか、電力会社の共通課題として、井上正氏(電力中央研究所研究アドバイザー)が、技術者の養成・確保に言及し、メーカーも含めた総合的な協力体制を構築していく必要を求めるなどした。

WGは次回以降、他産業における安全対策の取組について説明を受け、議論する予定だ。


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